今回は、 “love” という言葉について考えてみます。
“love” の日本語訳はさまざま。
英和辞書で調べると、「愛、愛情、恋愛、恋、好きなもの、好きなこと……」といった言葉が出てきます。
“love” は「恋」?「愛」?
これまでに投稿した記事で、「恋」と「愛」について日本語の由来から考察していますが、 “love” にはいずれの意味も含まれていることになります。
* 英語表現では、I love you.(愛している)と I’m in love with you. (恋している)など、 “love” という単語の用い方によって「恋」と「愛」の表現を分けているようです。
“love”とは幅広い概念なのかもしれません。
そう思い、今回は “love” の語源について考察してみることにしました。
“love” の語源
“Merriam-Webster”で “love” を調べてみます。
History and Etymology for love
Noun and Verb
Middle English, from Old English lufu; akin to Old High German luba love, Old English lēof dear, Latin lubēre, libēre to please
Merriam-Webster (下線は筆者によるもの)
古高ドイツ語の “luba” や 古英語の “lēof” 、ラテン語の “ lubēre, libēre ”と同根であるとのこと。
特に “lēof” と “libēre” に注目します。
近接概念として紹介されているのが “dear” と “please”
dear : 親愛な、かわいい、いとしい、大事な 等
please : 喜ばせる、楽しませる、満足させる 等
英語を日本語で考察すると、解釈にズレやねじれが生じることが考えられますが、 日本語圏で生まれ育った私には日本語に変換して解釈するしかありません。
“please” と “love”
興味深いのは “please” と “love” の繋がりについて。
“please” の対象が、 ① “love” の対象なのか、あるいは ②自分自身なのかによって解釈が広がります。
① の場合、 “love” の対象が “please” であることを “love” と表現しているのでしょうか。
つまり、相手を「喜ばせる、楽しませる、満足させる」ことが “love” なのでは。
② の場合、 “love” の対象が自分自身を “please” するという解釈になります。
つまり、自分自身を「喜ばせる、楽しませる、満足させる」作用を “love” と表現しているのでは。
いずれにせよ、 “love” と “please” には繋がりがあり、 “love” は “please” を伴う、 “please” は “love” を伴う。愛と喜びは関係しているのではないかと考察します。
“love” と “believe”
note というコミュニティでお世話になっているクリエイター: キャットホース三世さんから興味深いコメントをいただきました。
それは、 “love” と “believe” の繋がりについて。
早速、 “believe” についても語源を調べてみました。
History and Etymology for believe
Middle English beleven, from Old English belēfan, from be- + lȳfan, lēfan to allow, believe; akin to Old High German gilouben to believe, Old English lēof dear — more at LOVE
Merriam-Webster (下線は筆者によるもの)
見覚えのある言葉が出てきました。
古英語の “lēof”
“love“ の語源と共通する言葉です。
つまり、 “love” と “believe” は根底で繋がっているということでしょうか。
「恋/愛」と「信じる」
日本語で考えると、共通性を見出しにくいですが、よく考えてみるとこれらの関係性についても解釈できます。
“believe” には “lēof” (≒ dear) が含まれていると考えると、信じること/信頼することの尊さを感じます。
あとがき
愛とは、恋とは、love とは……
答えのない難しい問いではありますが、語源を探ってみるとヒントが見えてくるような気がします。
見方を変えれば、 “please” や “believe” を感じるとき、つまりは喜びを覚えたり、信頼できる対象があるとすれば、そこには “love” が存在するのかもしれません。
コメント